梅雨が明けて夏本番になると、いつの間にかセミの鳴き声が聞こえるようになりますね。真夏などは、どこに行ってもセミの大合唱で、夏だなあ〜なんて思いますね。
それにしても、あんなにうるさく鳴き続ける昆虫って、他に思いつかないですよね。セミがあんなに大きな声で長時間鳴く理由は何なんでしょうか?また、鳴く時期や時間帯は…?
見ていきましょう!
セミがうるさく鳴く理由は?
実は、ジージー鳴いているのは、オスのセミです。朝から大声で鳴いている理由は、メスに自分の存在を知らせるためなんです。成虫になってから死ぬまでの間に、子孫を残さなくてはいけないのですから、頑張っているというわけです。
なるほど、求愛のためなら、めいっぱい大きい声で鳴く必要がありますね。納得です。時々うるさいなと思っていたけれど、そういう事情なら許すしかないですね。
ちなみに、セミは成虫になって1週間しか生きないという話をよく聞きますが、実は1ヶ月位は生きるんですよ。
セミが鳴く時期・時間帯は?夜も鳴く
セミの成虫が見られる時期は、種類によって違いますが、6月下旬〜10月上旬くらいまでです。ですから、その頃にセミの鳴き声を聞くことができます。
また、セミが鳴く時間帯は、以下のようになっています。各々の種類の好む気温や日差しなどがあるため、セミの種類によって鳴く時間も違っています。
【セミの鳴く時間】
(出典:日本パークレンジャー協会)
- クマゼミ…早朝〜午前早め
- ヒグラシ…早朝、夕方
- アブラゼミ…早朝、午後〜夕方
- ニイニイゼミ…1日中(早朝〜夕方)
- ツクツクボウシ…午前中〜夕方
早朝に大合唱しているのは、クマゼミ、ヒグラシ、アブラゼミだったんですね。
この図でもわかるように、セミは一般的には夜には鳴きません。でも、時々夜にもセミの鳴き声をきいたりしますよね。なぜでしょう?
セミはある程度、気温が高いときに鳴くのですが、夏はそ夜になっても気温が下がらないことがあるため、夜でもセミが鳴いたりします。また、夜といえども明かりが多く、街が昼のように明るくなっているのも、理由のひとつです。
セミが大きい声で鳴けるしくみ
鳴いているセミをよく見てみると、胴体を動かしていますよね。セミの胴体には、「共鳴室」と呼ばれる空洞になった空間があります。そして、その背中側には、音を出すための「発音膜」があります。
この発音膜につながっている「発音筋」が伸び縮みして、発音膜をふるわせることによって音を出しています。わたしたちが喉をふるわせて声を出すのと同じですね。
そして、この音を空洞部分の「共鳴室」で共鳴させて、さらに大きな音にしているんですね。だから、あんなに小さな身体なのに、とても大きな声で鳴けるんですね。
また、その音の出口である「腹弁(ふくべん)」が閉じたり開いたりして、音の大きさや出方を調節しています。
これらの部分は、セミの種類によって違っています。そのため、セミによって鳴き方や声の大きさが違っているんですね。
蝉時雨はセミの鳴き声
蝉時雨(せみしぐれ)という言葉を聞いたことはありますか?夏の季語として使われています。また、歌のタイトルにもなっていますね。
蝉時雨は文字の通り、蝉の時雨(せみのしぐれ)ということで、たくさんの蝉が一斉に鳴いているその声が、時雨(しぐれ=降ったりやんだりする雨)のようだと、たとえていう言葉です。
わしゃわしゃとうるさいセミの声も時雨と思って聞いたら、なんだか素敵です。こういった日本の表現は本当に美しいですね。
セミが鳴く声も楽しもう
セミがあんなに大きな声で鳴く理由は、メスのセミに自分の居場所を教える為なんですね。それを知ってしまったら、今度セミがうるさくても、「がんばれー!」って思えちゃいますね。
また、セミの大合唱は、「あ〜蝉時雨だ。風流だな〜。」と思えば、これまたイラッとしなくてすみますね。
今年の夏は、頑張って鳴いているオスのセミを、心の中で応援しちゃいましょう!