春の天気予報で、「今日は啓蟄(けいちつ)ですね。」と言っているのを耳にしたことはありませんか?または、3月のカレンダーを見てみて、「啓蟄」と書いてあるな、と思ったことがあるかもしれません。
春によく聞く、この「啓蟄」とは一体、どんな日のことなんでしょうか?一緒に見ていきましょう!
啓蟄とは
啓蟄は「けいちつ」と読みます。時々「けいつち」と間違えている人がいますが、「けいちつ」が正しいですので、注意してくださいね。
「啓」は「開く」という意味、「蟄」は「虫が土の中にこもる」という意味があります。つまり、啓蟄とは、寒い冬の間、土の中でじっとしていた虫たちが、あたたかい春になったので、穴から這い出てきて、活動を始めることをいいます。
そして、暦の上で啓蟄と呼ばれる日があるんですね。
啓蟄はいつ?
啓蟄は、カレンダーの日付で言うと、 3月の5〜6日頃 です。年によって変わることがありますが、2022年までの啓蟄の日は以下のようになっています。
2024年 | 3月5日 |
2025年 | 3月5日 |
2026年 | 3月5日 |
日本には、1年を表す暦の種類がいくつもありますが、啓蟄は「 二十四節気 (にじゅうしせっき)」という暦に含まれている名称です。
二十四節気は、 季節を表現 する手段として考え出された暦で、1年を24つに分け、それぞれに季節を表す名前がついています。
啓蟄は、春の虫が活動を始める時期を表現する言葉として、使われているんですね。
二十四節気では以下のように1年を分けて表現しています。立春、春分、夏至、冬至などは、よく知られていますね。これらも二十四節気の暦に含まれています。その言葉を聞くと、季節の情景が浮かんできますね。
〈 春 〉
立春 | 雨水 | 啓蟄 | 春分 | 清明 | 穀雨 |
〈 夏 〉
立夏 | 小満 | 芒種 | 夏至 | 小暑 | 大暑 |
〈 秋 〉
立秋 | 処暑 | 白露 | 秋分 | 寒露 | 霜降 |
〈 冬 〉
立冬 | 小雪 | 大雪 | 冬至 | 小寒 | 大寒 |
啓蟄は春の季語として手紙や俳句に
上で説明した通り、啓蟄は春を表現する言葉ですので、手紙や俳句を書くときの季語としても使われます。
3月6日頃に手紙を書くときに、時候の挨拶として入れる季語であれば、「 啓蟄の候 、いかがお過ごしでしょうか。」のように使われています。ちょうど手紙を書く機会があれば、今年は使ってみるのもいいですね。
俳句の季語としても使われており、有名なところでは、以下のようなものがあります。
「 啓蟄 の蟻が早引く地虫かな」 高浜虚子
外国に啓蟄はあるの?
啓蟄のような日は外国にもあるのでしょうか?
近いものでは、アメリカのグラウンドホッグデー(Groundhog's Day)があります。グラウンドホッグとは、ウッドチャックともよばれるリス科の野生動物で、このグラウンドホッグによって春の訪れを予想するのが、2月2日のグラウンドホッグデーなのです。
冬眠から覚めたグラウンドホッグが外に出たとき、自分の影に驚いて巣穴に戻ってしまうと、まだ6週間は冬が続くのですが、そのまま外に出た場合は、春がもう来るとされています。
面白いですね。立春と啓蟄を合わせた感じですね。
啓蟄とねこあつめ
「ねこあつめ」というスマホのアプリをご存じでしょうか?家の庭にねこを集めて、ほのぼのする、ネコ好きにはたまらない内容です。
このアプリでは「今日のあいことば」というのがあり、出された合い言葉をチェックして、それを送信すると、にぼしなどのアイテムがもらえます。
これで、2015年の3月6日に出されたあいことばが「啓蟄」だったのですが、読めない人が続出するという事態になりました。しかし、みんな調べて解決したようで、あれで以前より啓蟄が広まったに違いありません。
使ってみよう
虫が出てくる、と聞くと、虫が苦手な人にとっては、ちょっとモゾモゾした気分になってしまいますが、春がやってきた感じがして、ちょっと嬉しくなりますね。
2020年の啓蟄は3月5日。「今日は啓蟄だね。」なんて挨拶をしてみませんか?