だんだん暖かくなってくる五月、真っ青な空で気持ちのいい天気の日が多くなりますね。
そんな清々しい5月の晴天の日を表す言葉、何と言っていますか?「五月晴れ(さつきばれ)のいい天気だね。」という会話がまっさきに思いつくのではないでしょうか?
でも知っていましたか?実はそれ、もともとは誤用なんです。
五月晴れの本来の意味・使い方
五月晴れの読み方は「 さつきばれ 」です。
五月晴れというのは、字の通り「五月の晴れ」のことです。ただし、これは旧暦の五月の言葉で、 今でいうと6月〜7月 にあたるんですね。ちょうど 梅雨の時期 で雨の日が多い時です。
そんな雨降りの多い日々の間にある、綺麗に晴れた日のことを、五月晴れと言うんですね。今よく使われている「 梅雨晴れ 」と同じ意味ということです。
5月で湿度が低いときの清々しい晴れの日でなく、梅雨で湿度が高く、夏に向けて気温もあがってきたときの晴れの日のイメージということですね。今の感覚から行くと、梅雨時に五月晴れはちょっと使いにくいかもしれません。
他の月には「○○晴れ」という言い方はありませんので、梅雨時の合間の晴れ間に、とても意味を見いだしたのかもしれませんね。
また、五月の晴れでなく、五月の雨と書く、「 五月雨(さみだれ) 」という言葉もあります。この言葉も、五月晴れと同様に、6月〜7月のことで、梅雨時に降り続く長雨を指しているんですよ。
現在は五月の天気の良い日にも使う
本来の「五月晴れ」の使い方は、上で述べたとおりなのですが、多くの人が誤用してきたことから、 現在では5月の天気の良い日も 「五月晴れ」という言葉で表現される事が市民権を得てきています。
その結果、国語辞典にも両方の意味が記載されていることが多く見られます。天気予報でも5月の晴天をさして使っていることもありますね。人々が使っている言葉は、だんだんと変化していくものですね。
また、5月の晴れの日を表現するのに、「さつきばれ」と区別して、「 ごがつばれ 」という読み方を使うという場合もあります。
五月晴れは夏の季語
五月晴れという言葉は、俳句や短歌の季語としても使われています。俳句・短歌の世界では、本来の意味で使われるので、6月〜7月のことで、 「夏」の季語 なんですね。
季語として使う場合は憶えておくといいでしょう。春の季語と間違えないでくださいね。
- 虻出でよしやうじの破れの五月晴れ 小林一茶
- うれしさや小草彩もつ五月晴 正岡子規
5月の手紙の挨拶に使えるか
それでは、5月に手紙を書く場合どうでしょう。出だしの挨拶には「五月晴れ」という言葉をいれてもいいのでしょうか?
季節の手紙例文集などを見ると、「五月晴れの清々しい空が広がる季節」や「五月晴れの空に鯉のぼりが舞い踊るこの頃」のように「五月晴れ」を使用した挨拶文が、出てくることがありますね。
上でご説明したように、現在では「五月晴れ」を5月にも使うようになっています。ですので、このように 使用してもかまいません 。
ただ、本来の使い方を知っている人が、その手紙を受け取った場合、 使う時期が間違っている なと思われる可能性はあります。心配であれば、「青葉が目に眩しいこの頃」や「暦の上ではもう夏となりましたが」などといった挨拶を使った方が、無難だといえるでしょう。
他に「五月」がつく言葉
- 五月闇(さつきやみ)
梅雨時の頃、雨降りのため空が厚い雲に覆われていて、鬱蒼として暗いことを言います。また、梅雨時の月のない闇夜のことにも使います。
- 五月富士(さつきふじ)
6〜7月、雪解けが進み夏になって、緑が鮮やかになってきた富士山のこと。
- 五月川(さつきがわ)
梅雨時で雨が多く降ったため濁っている川のこと。
- 五月山(さつきやま)
梅雨時の山で木々の緑がみずみずしく出てきている様子。
「五月」がつくと、どれも6月〜7月の梅雨時の言葉ですね。
まとめ
普段何気なく使っている言葉が、実は誤用であるというのは、よくありますね。
また、昔とは意味が変わってきているということもあります。
ぜひ「五月晴れ」のもともとの意味もおぼえておいてください。
美しい日本語を、正しい使えるようにしておきたいですね!