たいていの花は、太陽に照らされているときが一番美しいものですが、梅雨の季節に咲く紫陽花(あじさい)は、雨にぬれている姿も美しい素敵な花ですね。
ピンクや紫、青の色の紫陽花を見ているだけで、雨の日の憂鬱がふっとびますね。
この紫陽花、花の色が変化するというイメージがありますが、本当でしょうか?もしかして、自分で紫陽花の色を変える方法はあるんでしょうか?
今回は、紫陽花の花の色のハテナ?をなるほど!にします。
紫陽花の色の変化する秘密
紫陽花の花の色を決める要因は簡単に言うと2つあります。
◎紫陽花が持っているシントシアニン系色素
◎土中から吸収するアルミニウムの量
この2つの兼ね合いで、紫陽花の色がピンクになったり青になったりするんです。
シントシアニン系色素
シントシアニンは、植物に多く含まれている色素です。紫陽花に含まれているのも、このシントシアニンで、これが花の色のピンクや青色を出します。
土の中のアルミニウム
紫陽花の花の色にバリエーションができるのは、土の中のアルミニウムをどれだけ吸収するかが関係しています。
紫陽花の中にあるシントシアニンという色素と、アルミニウムとが影響し合って、花の色が変化するからなんですね。
アルミニウムを多く吸収できる酸性土壌では青い紫陽花、あまり吸収しない中性〜弱アルカリ性土壌ではピンクの紫陽花、というように色が異なってきます。日本の土壌は、たいてい弱酸性なので、青い紫陽花が多く見られます。
土壌が酸性かアルカリ性かによって紫陽花の色が変わると憶えておけばいいですね。
土壌 | 土の中のアルミニウム | 紫陽花の色 |
酸性 | 吸収しやすい | 青 |
中性〜弱アルカリ性 | 吸収しにくい | ピンク |
隣同士や同じ株なのに色が違うのはなぜ
庭に植えてある同じ品種の紫陽花なのに色が違ったり、さらには、同じ株なのに咲いている花の色が違ったり、ということってありますよね。
これも、上でご紹介したシントシアニン色素とアルミニウムが関係しています。紫陽花の根は広く伸びていますので、たまたまアルミニウムを吸収しやすい場所の根と、しにくい根ができたために、色の違いができたんですね。
また、買ったときはピンクの紫陽花だったのに、庭に植えたら紫っぽくなった、という話もありますが、庭の土壌が弱酸性だったため、青い色が入っていったということですね。
自分で紫陽花の色を変える方法は?
上のようなメカニズムで、紫陽花の色は変わってくるんですね。
もちろん、紫陽花の株によって元々の色はあります。ただ、上のエピソードのように、例えばもともとはピンクの紫陽花を酸性の土壌に植えた場合、土中のアルミニウムを吸収するためアントシアニンと反応して、青が入ってしまい紫っぽい花の色になります。
反対に、もともと青系の紫陽花を、中性〜弱アルカリ性の土壌に植えると、ピンクが入って紫っぽくなります。
もとの花の色 | 土壌 | 花の色 |
青 | 酸性 | 青 |
中性〜弱アルカリ性 | 紫 | |
ピンク | 酸性 | 紫 |
中性〜弱アルカリ性 | ピンク |
◎青い紫陽花を綺麗に青く咲かせたい → 土を酸性にする
◎ピンクの紫陽花を綺麗にピンクに咲かせたい → 土を中性〜弱アルカリ性にする
土を酸性にするには、鹿沼土(かぬまつち)を混ぜます。また、中性〜アルカリ性にするには、苦土石灰を混ぜます。
このように、紫陽花の土壌の環境を変えてやればいいんですね。ただし、あまり影響されず元々の花色で咲く種類などもありますし、土壌の状態もいろいろですので、完璧にコントロールするのは難しいです。
ちなみに白い紫陽花は、シントシアニンという色素を持たないため、基本的にはどんな土壌でも白いまま咲きます。
うちの庭には、以前お店で買ってきたピンクの紫陽花があるのですが、花の色が青くなってしまったので、土が酸性なのかもしれません。
どの色も2つとない紫陽花
ご紹介してきたように、いろいろな条件で変わっていく紫陽花の色は、まさに自然が作り出した美しさですね。
もし、色を変えたいわと思ったら、上の方法も試してみるのもいいかもしれません。
梅雨時に紫陽花をみかけたら、花の色にはこういう意味があったんだな〜と思い出してみてくださいね!